息子がまだ一歳の頃の話だ。まだ言葉をちゃんと話せなかったし、好奇心も旺盛なので、悪気がないとはいえイタズラが大変な時期だった。子供は遊んでいても食べていても眠っていても、とにかく色々汚す！だけど泣くのと寝るのと食べるのが子供の大事な使命であるように、汚すっていうのも子供の大事な成長過程なんだろうな。と、なるべく温かい目で見守るようにしていた（それでもついつい目が血走ってしまうこともしばしばあるのだけど…汗）。
その日もそうだった。私と息子でお風呂に入り、私が髪を洗っていると、「あい」と何かを手渡された。目を瞑って頭を洗っていたこともあり、何だかわからなかった私はそれを片手にとりあえず頭の泡を洗い流した。何だろう、コレ…柔らかくてあったかい…泡を流した私の目に飛び込んできたもの、それは何とうんちだったのである。風呂中に響き渡る、あらんかぎりの声が浴室内に響いた。思わずそれを排水口に向かって投げつけようとしたけれど、よく考えたらこれが排水口に詰まったら、大変なことになるんじゃないか…？私は思い直して水浸し状態でそれをトイレに捨てに行ったのである。
それから一週間ほど経った頃だったか、風呂場の排水管が詰まって水が逆流してしまった。業者さんに見てもらうと、我が家の昔からの髪の毛が積もり積もって排水口の穴をだんだん塞いでいたんだとか。あの時子供のうんちを排水口に流そうとしなくてよかった、もし流していたら大変なことになっていたに違いない。
今ではその息子も高校生になった。その話をすると、もちろん覚えていないけれど、他人の話のようにけらけらと笑う。あの頃の面影などすっかり消え、反抗期で一緒に外を出歩くこともなくなってしまったけれど、ときどき昔の息子を思い出しては、ほっこりとした気持ちに包まれるのだった。